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ご挨拶

わが国は高齢化が急速に進み、65歳以上の高齢者人口は2006年には2,660万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も20.8%となっています。高齢化率は今後も上昇を続け、2015年には国民の4人に1人が65歳以上の高齢者となると推計されています。このような国民の高齢化に伴いがんの発生数は年間60万人に達しようとしています。わが国では外科医ががん診療の主役となってきたこともあり、国民の間に「がんは切らなければ治らない」という考えがこれまで定着していました。しかし、放射線治療が進歩したことやがんに対する情報を容易に取得することが可能になったことなどから、国民の価値観の変化が生まれ、放射線治療を選択する患者さんが急激に増加しています。事実、平成14年度の厚生労働省がん研究助成金による井上班研究によれば、わが国の放射線治療患者数は1990年には年間77,700人でしたが、2006年度には20万人に達する勢いで増加しています。しかし、欧米では全がん患者の2/3が何らかの形で放射線治療を受けているのもかかわらず、わが国ではまだ1/4に過ぎません。これはさらに放射線治療患者が増加する可能性があることを意味しています。

安部内閣は2007年6月23日にがん対策基本法を閣議決定し、それによってがん対策推進基本計画が実施に移されました。がん対策基本法の重点課題の1つである「がん医療の均てん化の促進」では専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成として、放射線治療医、医学物理士、品質管理士の育成が急務であることを指摘しています。また、厚生労働省は、都道府県から推薦を受け、がん診療の地域格差を無くし、質の高いがん医療を提供するために、地域におけるがん診療連携を推進する中核となる病院を「地域がん診療連携拠点病院」として指定しています。特に、放射線治療に関する新しい指針として、放射線治療部門が設置され、放射線治療機器を備え、放射線腫瘍医が配置されていることが、地域がん診療連携拠点病院として推薦を受けるための必須条件とされようとしています。

一方、文部科学省も平成18年度にがんプロフェッショナル養成プログラムを公募し、全国で18グループのプログラムを採択して、放射線治療医、医学物理士、品質管理士の大学院教育課程での育成を義務づけています。また、医学部学生のがん教育を充実させるために医学教育モデルコアカリキュラムに腫瘍に関する記載を追加していますが、その中に「放射線治療について概説できる。」という項目が含まれています。

このように放射線治療に追い風が吹いているからこそ、じっくりと腰を据えて放射線治療の有効性のエビデンスを作り上げて行かなければなりません。また、国民に放射線治療の正しい知識を持ってもらうべく、広報活動や教育活動を地道に行っていかなければなりません。

日本放射線腫瘍学研究グループ(JROSG)は放射線治療が寄与することができる癌の集学的治療について幅広く多施設共同研究を行い、もって癌の治療成績の向上並びに国民の福祉の向上に寄与することを目的として、平成18年7月11日に東京都から特定非営利活動法人 日本放射線腫瘍学研究機構(NPO-JROSG)の認可を受け、7月20日に成立(会社法人等番号 0199-05-010448)し、すでに2年間の活動を行って来ました。本機構(NPO-JROSG)の設立目的は定款にも記載されているように、「広く一般市民を対象として、悪性腫瘍などに対する最適な放射線療法の普及のために、多施設共同研究事業や国内外の研究状況の情報の収集を通じて、科学的根拠に基づいた放射線療法を確立するとともに、得られた成果を広く社会一般に対して周知せしめるための事業を行い、もって社会全体の医療福祉の増進に寄与することで社会貢献すること」です。また、この目的を達成するために、(1)放射線療法に関する多施設共同研究事業、(2)各国における悪性腫瘍に対する治療・研究に関する調査・研究を通じた教育事業、(3)放射線療法に関する情報及び研究成果の普及啓発事業、(4)その他目的を達成するための事業です。さらにその他の事業として、(1)出版事業や(2)市民公開講座など社会全体の医療福祉の増進に寄与する特定非営利事業を開始しています。

このたび上記の事業が円滑に実行できるように、ホームページの更新を行うと共に、さらに機構の活動を活発化させていきたいと考えております。会員の皆様、特に若い会員の積極的な参画を期待しております。

最後に、本機構(NPO-JROSG)が任意団体として設立された1997年以来今日まで、ほぼ順調な歩みを続けることができたのは、賛助会員各社の絶大なご貢献の賜物であります。この機会を借りて心から感謝申し上げるとともに、今後もさらなるご協力をお願い申し上げます。

平成20年5月22日
理事長 三橋 紀夫